仏壇に使用する木材・材質の種類ごとの特徴について解説!
仏壇とは、家の中にあるお寺のような存在です。しかし、近頃、仏壇のある家庭が少なくなり、本来の役割を知らない方が多いのではないでしょうか。仏壇は日本人が培ってきた伝統的な文化です。また、仏壇ごとの特徴や使用されている木材などの材質や種類や特徴を知ることも一つの重要な要素になるため、奥深い仏壇のルーツに迫りましょう。
仏壇のそもそもの役割とは?
仏壇に馴染みのない方には、そもそもどのような目的で置いているのか、なぜ必要なのか考えたこともないでしょう。ここでは、そのような方に、仏壇の役割について、またその必要性を解説します。
心の拠り所
仏壇の前に座り、ご先祖に合掌、礼拝、経を読むことで、仏様で向き合い、心の安らぎをもたらせてくれます。故人を偲び、過去の自分を見つめ直す場とする意味合いがあります。
先祖供養の場
現代は人間関係が希薄になり、家族や親戚でも絆が薄らいでいます。今までのような同じ価値観であった文化や風習も失われつつあります。しかしご先祖に感謝する心を持ち続けることを自分の子孫へ伝えることは大切です。仏壇があることで、平静な心を保ち、絆を強めていくことが必要です。
故人との対話の場
仏壇に置く位牌は、自分達を見守っていてくれるという安心感を与えています。共に喜び、悲しんだ過去を共にした故人と向き合うことで、これから生きる勇気を与えてくれる場所なのです。
家族の絆を強める
家族であっても個人の考え方や価値観は異なります。しかし、家族の絆は必ず心の中にあります。その絆を改めて見つめ直し、お互いを思いやる気持ちになれる場所といえるでしょう。
仏壇の種類ごとの特徴
仏壇は大きく分けて、伝統型仏壇と家具調仏壇があります。伝統的な形式で造られた伝統型仏壇には金仏壇と唐木仏壇にさらに分かれ、現代的でスタイリッシュな家具調仏壇は、モダン仏壇、都市型仏壇とも呼ばれています。
伝統型仏壇
和室に合う重厚なデザインの仏壇です。金仏壇は、黒の漆塗り、金箔が張られ、荘厳な印象を持つ仏壇です。とくに漆や金箔の質、量にこだわり、細工の細かさに手間をかけているのが特徴です。一方、唐木仏壇は金仏壇とは対照的に、シンプルで木の素材を生かした印象で、木材に黒壇や柴壇が使われているのが特徴です。
家具調仏壇
現代的でとくに洋室にも合うような家具調の仏壇です。明るい色合いやデザイン性の高い仏壇が多く、一見すると家具と見間違えるようなスタイルのため、宗教性を感じさせないなど、今の時代では人気を集めています。また、コンパクトで置く場所を選ばない仏壇もあるため、自分の好みに合ったものを選択できるのも大きな特徴です。
仏壇に使用する木材・材質の種類ごとの特徴
仏壇に使用する木材は唐木仏壇と銘木仏壇があり、それぞれ木材の材質の特徴を生かして造られています。唐木仏壇の代表的な木材は黒壇、柴壇などがあり、銘木仏壇には欅、屋久杉などの高級木材を使用したものもあります。お参りする人に安らぎを感じさせる木の香りを与える仏壇に使われる代表的な木材と特徴について紹介しましょう。
黒壇
重くて硬い木材を使用しており、加工は困難だが、仕上がりは滑らかで、磨けば鏡のような光沢が出るのが特徴です。
柴壇
木目は緻密で堅く、製材した後、長時間空気に触れると暗柴色に変色します。
鉄刀木
現在はタイからわずかに輸入されているため、この木材を使用する仏壇は少なくなっています。堅牢で淡黄茶色を呈し、竹を切ったような独特な木目で、長時間区空気に触れると色が濃くなることが特徴です。
屋久杉
鹿児島県の屋久島の天然木です。樹脂成分を多く含み、心材は黄褐色~茶褐色で年輪が緻密なことが特徴ですが、今では希少材となっています。
欅
日本を代表する樹木で、唐木仏壇によく使われます。強度が強く、耐久性があるため、仏壇には最適の木材といわれています。
黄王壇
堅い部類に入る木材です。黄色味を帯びた色目であるため、黄王壇と呼ばれ、主に仏壇に使用されています。黒檀や柴壇に比べ、加工性がよいのが特徴です。
その他
栓、楠、杉、桐などさまざまな木材も使用されています。最近では、合板やアルミニウム、プラスチックといった素材も使われるようになってきました。また、海外の木材として、ウォールナット、シャム柿、アッシュ、ハードメープルも使われています。
仏壇の役割や特徴、木材の種類や特徴についてまとめてきましたが、仏壇を持つということは、故人を偲び、ご先祖様を敬い、私たちの心の拠り所として必要ではないでしょうか。仏壇はお参りすることで、自分が生きていることに感謝するための場として大きな役割を持っています。また、仏壇にはさまざまな木材が使われ、その材質にもさまざまな特徴があります。末永くご先祖様を供養する気持ちを持ち続けるのであれば、仏壇はこだわりを持って選びたいものです。
