唐木仏壇とは?代表的な産地や使用される素材についても解説!
唐木仏壇は浄土真宗以外の宗派で使用しています。シンプルなスタイルで人気がありますが、実際には唐木仏壇について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは、唐木仏壇にはどのような特徴があり、またその産地や使用される木材などについて解説するので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
唐木仏壇とはどのようなもの?
唐木仏壇とは、銘木の美しい木目を生かして造られた仏壇です。また、欅や桑などの国内産木材、木目に印刷したもの、シートを貼ったものなどの仏壇もあります。ではそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。ここではその特徴や代表的な仏壇、製造方法、価格、購入する際の注意点について紹介します。
■特徴
唐木仏壇は貴重な木材を使用していますが、金仏壇に比べシンプルなデザインです。とくに無垢材を使用した仏壇は希少価値がありますが、今ではわずかになりました。代表的な仏壇では、サクラ仏壇、黒檀仏壇、柴壇仏壇です。
■サクラ仏壇
普及品の仏壇です。均一な堅さで、材質が密、やや重く強靭。塗装で赤みを帯びた濃い褐色に着色します。一見すると柴壇との見分けがつきません。
■黒壇仏壇
中高級の代表的な仏壇です。堅くて重いのが大きな特徴で、黒または黒褐色です。
■柴壇仏像
黒檀同様、成長が遅く、堅くて重い木材を使用しています。黒に近い茶褐色の仏壇です。
■仏壇の製造方法
木材そのままを使用することはありません。黒檀を例にとると、薄板貼り、厚板貼り(前練り)、厚板貼り(二方練り、三方練り、総練り)という工法があります。また仕上げにも、表面をつるつるに仕上げた光沢感のある鏡面仕上げと木材のざらざら感を出し光沢を抑えたオープン仕上げの2種類です。好みで選べばよいのですが、同じ仏壇の場合、オープン仕上げは若干値段が高くなります。
■価格
国内産や海外産、また輸出規制などによる木材の使用により値段も変動します。またプリント型の価格を抑えた仏壇もあるようです。黒檀、柴壇を使用した仏壇は今も根強い人気がありますが、柴壇は黒檀より価格帯が安い傾向にあるようです。
■購入の際に注意する点
銘木を使用した仏壇は、高級品で美しい状態を長年保ちますが、それだけに高価になります。プリント型の仏壇は安価ですが、長く使用していると木目は色あせが出る、突板が薄いため傷つくという欠点があります。購入の際には、安価な仏壇は長持ちしにくいことを念頭に置いて検討する必要があるでしょう。素材で選ぶのか、デザインで選ぶのかは購入する方の好みになります。
代表的な唐木仏壇の産地
江戸時代から造られている長い歴史を持っており、各地で地域性のある仏壇が造られています。江戸の指物師が桑などの木材で造ったことが始まりとされ、現在では、さまざまな材料や工法で造られていますが、その代表的な仏壇は次の5つです。
■東京唐木仏壇
東京都や埼玉県で造られています。江戸時代に当時の江戸指物氏が仏壇を造ったのが始まりとされ、あっさりとした外観が特徴です。国内では桑、ケヤキ、屋久杉や海外産の黒檀、柴壇、鉄刀木などの木材を使用しています。
■大阪唐木仏壇
大阪府で造られています。大きな特徴は、仏壇内部が三方金である、両脇の金紙が板ガラスで保護されている、胴板が桟木で固定されていることなどです。
■徳島仏壇
唐木仏壇の中ではもっとも個性豊かな仏壇です。大阪唐木仏壇の製造技術が伝わり、独自の進化を遂げた仏壇として生まれました。
■静岡仏壇
仏壇の産地としては比較的浅く、1947年頃といわれています。以降は仏教の全宗派仏壇の産地として発展し、国内有数の唐木仏壇の産地として知られるようになりました。
■関東仏壇
北関東を中心として造られている唐木仏壇で、4枚のガラス組子引き戸を持ち、下の台が和家具調になっているのが大きな特徴です。
唐木仏壇に使用される主な素材
唐木の代表的な木材は、黒檀、柴壇が有名ですが、それ以外にも日本の木材やカナダ産も使われています。ここでは唐木仏壇の代表的な木材を紹介しましょう。
■黒檀
インドネシア産のカキノキ科の木材で堅くて光沢があり、緻密で耐久性に優れる、乾燥性がよいという特徴があります。青黒檀、本黒壇、真黒の3つに分けられ、美しい木目で高級な木材です。
■柴壇
東南アジアのマメ科で、赤褐色から紫の色味がある木材です。芯材は暗柴虹色、材質は堅く、緻密です。古くから珍重されている木材ですが、近年では過剰な伐採により枯渇している木材のひとつとなっています。
■鉄刀木
東南アジアのマメ科の樹木で、深い色合いが特徴的で、代表的な唐木材のひとつですが、柴壇と同様、現在では木材保護の観点から輸入禁止となっています。このため鉄刀木で新たに作られる仏壇はほぼ見られません。
■桑
日本全国で産出する木材ですが、良材で伊豆諸島の島桑が有名です。年輪が緻密で美しい木目と粘りが特徴的で、国内最高級の木材です。
■けやき
広葉樹のニレ科で、代表的な日本の木材。北海道を除く全国または台湾、中国が産地で、木目の美しい木材で材質は堅く、仏壇向きだといわれています。
■メイプル
ローズウッド系の木材の輸出禁止に伴い、カナダ産地の木材であるメイプルを代用することが多くなっています。独特なテイストが特徴で北欧的な雰囲気があるため、伝統的な仏壇というよりモダン仏壇と見られる傾向があるようです。
■選び方のポイント
仏壇は品質が重要ですが、とくに唐木仏壇は扉に使用する木材において天然木材の無垢の面積が大きいほど高級品です。仏壇屋によっては、構造により無垢、ネリ、二方ネリ、プリントなどといった品質表示がされているため、確認しておくことが大切。
唐木仏壇に使用されている木材によって価格は大きく変わるようです。また、転写やプリントの仏壇でも印刷技術の向上に伴い、高級木材とは見分けがつかないほどよくできています。しかし材質により、価格に大きな差があります。高級木材を使用する仏壇ほど相当高価になるのです。必ずしも高価な仏壇がよいというのではなく、部屋のスタイルに合わせた仏壇を選択することも必要です。唐木仏壇にはさまざまな種類があります。写真で見るのではなく、実際に仏壇屋でご覧になり、納得のいく仏壇選びをすることが大切です。
